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日常の暮らしを大切に《日日是好日》パン屋への挑戦[鳥取県移住者インタビュー]

「特別な何かではなく日常の暮らしを大切にしています。」

 

そう話してくださったのは、母として妻として、パン屋「そしがやべーカリー」の店長として、楽しく「今」を生きている向井さやかさんです。

 

長年住み慣れた東京を離れ、鳥取に移住して10年。さやかさんが今思うこと、生活の中で感じていること、鳥取に対する思いなどをインタビューしてきました。

 

そしがやベーカリーオープンまでの道のり

さやかさんが店長を務めるお店「そしがやベーカリー」は、鳥取県南部町にある「就労継続支援A型事業所 アローズ」の事業の一環として、2023年5月に米子市米原にオープンしたパン屋さんです。

 

お店を開業して2か月、最近ようやく新しい生活のリズムがつかめてきたそうです。

 

「開店までの日々は記憶にないほどの目まぐるしさで、何から手を付けていいのかも分からず、本当に自分にできるのだろうかと不安な気持ちもありました。」

 

開店の準備を進めていく中で、さやかさんの心には不安な気持ちが押し寄せてきました。

 

「東京で働いていたパン屋さんの味にできるだけ近づけるため、試行錯誤の毎日でした。」

 

東京都世田谷区祖師谷で長い間パン屋さんを営んできたパン職人さんと一緒に、納得できる味になるまで何度も試作を繰り返す日々。

 

「東京で使用していたものと近い材料を見つける事にも苦労しました。」

 

東京のパン屋で食べていたあの味を出したいのに、レシピ通りの材料が米子では揃わず、代用品探しに頭を悩ませる時もあったといいます。

 

オープンするまでの間、数々の出来事がありましたが、さやかさんは周りの人たちに支えられながら、ひとつひとつ困難を乗り越えていきました。

 

そして「お客さんは来てくれるだろうか」と不安な気持ちを抱えながら、いよいよ迎えたオープン当日。

 

「開店1時間ですべての商品が売り切れるほど、たくさんのお客さんが来てくれました。」

 

準備していたパンはすぐに空になってしまったため、一度お店を閉めて、追加でパンを焼き足すほどの大きな反響がありました。最初の2週間は行列ができるほどの大盛況だったそうです。

 

そしがやベーカリーの店内にはたくさんのパンが並んでいます。

 

大山ハムのあらびきウインナーや大山乳業の生クリーム、バターなどの鳥取県産のものを使用し、地産地消に貢献するなど地域に根付いた商品を作られています。今現在、パンの数は全部で約30種類ほどあるそうです。

 

就労継続支援A型事業所 アローズ

「いつかパン屋さんを開業できたらいいね。と二人で話していました。」

 

夫である向井登志彦さんとの出会いの場所が、バイト先のパン屋さんだったこともあり、いつか二人でパン屋を開きたいと思い描いてきたそうです。

 

登志彦さんは現在「就労継続支援A型事業所 アローズ」の理事長として、障害のある方をサポートをする事業を運営されています。

 

「就労継続支援A型事業所 アローズ」では、誰もが安心して楽しく働いていけるよう農作物の生産、再生可能な中古品のリユース、焼き菓子の製造や販売などの食品製造などを中心に、ひとりひとりの個性に合わせた仕事を提供しています。

 

その活動の中で、利用者さんから「パン作りがしたい」との声もありパン屋の開業を実現するための先駆けとして、2022年12月「スコーンショップ Arrows one」スコーン専門店を南部町にオープンしました。

 

そしてその後、2023年の5月。「スコーンショップ Arrows one」の姉妹店として「そしがやベーカリー」はオープンしたのです。

 

東京からのIターン

 

さやかさんが移住を決めたのは10年前の27歳の時。結婚するのを機に、鳥取へ生活の拠点を移しました。

 

新しい地での生活は、さみしさや不安もあったものの鳥取には旅行で何度も遊びに来ていたこともあり、これからどんな風に過ごしていこうかと、楽しみな気持ちが大きかったそうです。

 

「ゆったりとした時間が流れ、海も山も近くにあり、とても贅沢な場所だと思っていました。」

 

「東京のように欲しいものすべてが揃うわけではないけれど、必要なものがすぐそばにある、それだけで十分だと気付きました。」

 

車を走らせればすぐに海にも山にも行ける。鳥取で生活していく中でさやかさんは、便利さよりも自然の豊かさの大切さを感じています。

 

一日の終わりに、お酒を飲むというさやかさん。「鳥取はお酒も美味しいです。」とにっこり。

 

鳥取は食べ物がおいしいと言われます。そんなエピソードのひとつひとつから、さやかさんの鳥取への思いを強く感じることができました。

 

支えあい、助け合い

「周りの人々に支えられて「今」があります。近隣の方々が協力してくれる環境にとても感謝しています。」

 

インタビューの中で、さやかさんは何度も感謝の気持ちを口にしていました。周りの人たちの温かさに支えられているそうです。

 

「ママ友同士の繋がりも濃く、友達もたくさんできました。大人になってからこんなに友達が出来ると思っていませんでした。」

 

子供の頃は自然とできた友達も、大人になってからの友達はなかなかできにくいもの。人との関係が希薄になっている現代の流れの中で、「支えあい」や「助け合い」といった大切な部分はこの先も残っていってほしいですね。

 

特別な何かではなく、毎日の中の幸せ

 

朝7時半に子供たちを送り出してから店長としてのさやかさんの仕事がスタートします。

 

「朝の片付けなど主人がやってくれるので本当に助かっています。」

 

子育てと仕事との両立に、登志彦さんの助けがとても大きいといいます。インタビューの間も、さやかさんに寄り添うようにフォローする登志彦さんの姿はとても印象的でした。

 

「パン屋さんを始めたことを2人の子供はとても喜んでいて、学校の先生や保育園の先生に宣伝してくれるんです。」

 

と嬉しそうに話してくれたさやかさんの顔は優しい母の顔。

 

「家族と毎日楽しく食べて飲んで暮らしていけたらそれが一番の幸せです。どんなに忙しくても、睡眠や食事などの基本の生活のリズムを見失わず家族で笑って過ごしたいですね。」

 

これからの活動について

「これからは、もっと自宅の庭での家庭菜園や農業に力を入れていきたいです。」

 

そしがやベーカリーのパンに使われている野菜の多くは「就労継続支援A型事業所 アローズ」の野菜畑で育てられたもの。登志彦さんが農業をしていることがきっかけとなり、さやかさんも農業に興味を持つようになったそうです。

 

「自宅の庭には、家庭菜園が出来る畑があり、今の時期は夏野菜などを育てているのですが、忙しくてなかなか構うことが出来ずにいます。でも本当はもっとやりたいです。」

 

「子供達と一緒に野菜を育てたり、収穫したり土に触れる時間がとても楽しいです。」

 

年に数回、保育園の子供たちを家の畑に呼んで、お芋堀りや、大根堀り、スナップエンドウの収穫したりといった野菜の収穫体験を開催しているそうです。

 

「東京の友達が聞いたらきっとびっくりすると思います。都会で育ち、土に触れることもなかったので。」

 

最後に…

 

今、鳥取での暮らしを満喫しているさやかさん。

 

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という言葉がありますが、良いことも悪いこともあるがまま受け入れ、これから先も仲間と共に「今」この時を楽しく過ごしていくのでしょう。

 

向井さやかさんの移住スケジュール

1987年3月   神奈川県横浜市生まれ

1993年    小学2年生の時、東京都世田谷区に引っ越す

2013年    鳥取にIターン

2023年5月 そしがやベーカリー開店

 

そしがやベーカリー データ

住所:鳥取県米子市米原4丁目1-8

電話番号:0859-57-9282

営業時間:13:00~18:00(商品が無くなり次第閉店となります)

定休日:日・月・祝日

情報:そしがやベーカリーInstagram

 

とっとり移住定住ポータルサイト 鳥取来楽暮(とっとりコラボ)

移住を検討している方や、鳥取に帰りたい方などに向けて、移住について書かれたサイトが「とっとり移住定住ポータルサイト 鳥取来楽暮」です。

 

鳥取の魅力、県内の場所について、移住の流れ、仕事住まい、支援制度、相談窓口、移住イベント情報など、移住のことならなんでも載っているサイトです。

 

サイトにはたくさんイベントが掲載されています。

 

定期的にさまざまなイベントが開催されているので、気軽に参加してみてください。

 

ホームページアドレスはこちら→https://furusato.tori-info.co.jp/iju/ 

 

(データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。変更ある場合がありますので参考程度にお願いします。)

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