古事記にも出てくる神話の舞台の一つ黄泉比良坂。そ国土を生み、数々の神を誕生させた男神伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と女神伊邪那美命(いざなみのみこと)の夫婦の物語です。いざなぎのみことが妻であるいざなみのみことを尋ねて黄泉の国に向かった場所です。
黄泉の国(あの世)とこの世の境目とされ、「千引の石(ちびきのいわ)」によって隔てられていると云われています。静かな場所に大きな岩が並んでいます。
松江~米子の往来中の9号線を通る時いつも気になっていた「黄泉比良坂(よもつひらさか)」の看板。
黄泉比良坂(よもつひらさか)アクセス
黄泉比良坂(よもつひらさか)
〒699-0101 島根県松江市東出雲町揖屋2407
駐車場は5台程度あります。
古事記にもでてくる神話の舞台
夫婦の愛の物語ともとれるお話です。
男神・イザナギと一緒に国造りをしていた女神・イザナミが亡くなり、イザナミに黄泉の国で再会したイザナギが一緒に帰ってほしいと願うと、イザナミは黄泉の国の神々に相談してみるが、けして自分の姿を見ないでほしいと言う。
だがイザナギは、イザナミの醜く腐った姿を見てしまう。怒ったイザナミは逃げるイザナギを追いかけるが、イザナギは黄泉比良坂まで逃げのび、そこにあった桃の木の実を投げて追手を退ける。最後にイザナミ自身が追いかけてきたが、イザナギは千引(ちびき)の岩(動かすのに千人力を必要とするような巨石)を黄泉比良坂に置いて道を塞ぐ。
(ウキペディアより)
現地に詳しい資料がありました。物語の内容や関連する揖屋神社の情報が載っていました。松江市地域振興課や比良坂神蹟保存会が準備をしてくれたもののようです。
住宅街のちょっとした小道を登るルートをとった
すぐとなりの駐車場近くまで車で行けるルートもあります。今回は徒歩で行く夜見路という古道を選びました。
かろうじて案内板があるのでいいようなものの無ければ気が付かない古道登り口側からアクセスしてみました。
ほんと、森の道です。
この歩いていく道が黄泉比良坂であるとされ、別名「伊賦夜坂」と呼ぶのだそう。
塞ノ神とかかれた標識がたっていますが、まっすぐ進みます。この標識の後ろに階段がありますが、登っていくと行き止まりです。
この道は揖屋神社から塞ノ神を通り安来方面へ抜ける古道と言われてきました。東へ越える古道は夜見路越(よみじごえ)と呼んだり、近くの谷を夜見路谷(よみじがたに)と言ったりしていました。夜見路とは黄泉路(よみじ)(死の国への道)のことです。
しばらくすると目の前が開け池の奥に鳥居が見えます。
小さ目の鳥居です。
こちらは1940年に神武天皇即位紀元2600年を祈念して当時の揖屋町長が神蹟の荒廃を嘆きたてたもの。戦争の影響で東京オリンピックと札幌オリンピックが未開催だった年ですね。
こちらが黄泉の国の道をふさいだという大岩。
伊邪那岐命は黄泉の国から追いかけてきた軍を桃の実で追い払ったと言われています。その立派な桃の木が立っています。その桃の実はこれから多くの人が困っていたら助けるようにと伊邪那岐命によって「意冨加牟豆美命(おほかむづみのみこと)」と名付けられました。
あの世へ届くポストがある
東出雲ライオンズクラブと比良坂神蹟保存会が「天国への手紙」をだせるポストを設置されています。
手紙を書いてポストに入れるとお炊き上げをしてくれます。大好きだったあの人へ気持ちを伝えられるのですね。
故人をしのぶ人が多く訪れることから、手紙を書くことで悲しみを少しでも癒やしてもらおうと、東出雲ライオンズクラブと黄泉比良坂を管理する比良坂神蹟(しんせき)保存会が2017年4月、手製のポストを置いた。(山陰中央新報)
ここに来て初めて手紙を書きたくなっても大丈夫。便箋が用意してありました。
わたくしも一通したためて投函いたしました。
お炊き上げの様子や次回の予定はこちらから→東出雲ライオンズクラブ のフェイスブック
遠方の方は下記へ郵送をするとお炊き上げして天国へ届けてくれます。
”〒699-0109
島根県松江市東出雲町錦浜583-18 東出雲ライオンズクラブ 天国への手紙宛”
2010年の日本映画『瞬 またたき』では、亡くなった恋人に会いたいと願う主人公が訪ねる場所のロケ地
映画のラストシーンに使われたロケ地です。
映画「瞬 またたき」のあらすじ
園田泉美(北川景子)は、事故で恋人・河野淳一(岡田将生)を亡くしたショックから記憶を喪失し心的外傷後ストレス障害(PTSD)になってしまう。恋人との大切な記憶を取り戻そうと真実を知る恐怖と闘いながら泉美が再生していく過程を描いた物語。(ウィキペディアより)
しまね観光ナビのページには「またたき 瞬」に関するこの他のスポットが載っています。
原作者の河原れんさんは「…「古事記」に書かれた場所ではあるが、地元でも知る人は少ないと聞く。私だけの秘密にしておきたい気もするが、小説を読んで、また映画を観て、この場所を訪れる人がいたら、それもまたうれしい。」と語っています。
監督の磯村一路さんは「…ラストシーンをその坂にして良かった・・・悠久の時を感じる出雲の地で、大切な人への思いを永遠に繋げたいと願う主人公を描けて良かった・・・と私は思っています。」と語っています。(しまね観光ナビより)
黄泉の国への入り口は怖い場所なの?
神話の中で別れの場所でもあり、大切な人への愛を想う場所、そして様々な再出発や誕生の源ともとれるこの黄泉比良坂。
寂しい雰囲気はあり、池が広がる風景にここだけ時が止まったような静けさでした。それは故人をしのぶ人々の思いがあるからかもしれません。
同時に映画またたきにあるように…私は生きている…と再認識して生きることに前向きに進むパワーをもらう場所なのかもしれません。
私はこの自然のままに近い古道の散策を森林浴のように楽しみ、清々しい気分さえしました。
ここ山陰は神秘的だということを改めて感じた訪問になりました。