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「いのち」と「くらし」・「なりわい」を守る!/南部町・馬佐良地区の砂防堰堤工事を取材

治山砂防

南部町馬佐良地区。

 

ここは、かつて棚田や畑として利用されていた場所です。現在は荒地となったこの地で砂防堰堤(さぼうえんてい)工事が進められています。

 

■砂防堰堤とは

砂防堰堤とは、土砂災害(土石流)から生命や財産を守るために、渓流や谷沿いに設置される構造物のことです。

 

日本は平地が少なく、国土の約7割が山地であり、しかも、多くの山はもろくて崩れやすい土や岩からできています。

 

そのため大雨や地震などの影響により、土砂災害が発生しやすいのです。

 

そこで、地域の安全を守るための基盤施設として全国的に砂防堰堤が整備されています。

 

■大倉山川砂防堰堤工事

馬佐良地区には「大倉山川」という渓流が流れており、大雨などによって発生する土石流(土砂災害)から下流の人家や道路を保全し、人々の暮らしを守るため、砂防堰堤の建設が行われています。

 

この砂防堰堤の長さは、令和11年の工事完了時には130mとなる予定で、大規模かつ長期にわたる工事です。

 

■今回の現場のポイント

 

今回の工事現場には大きく2つの特徴があります。

 

① Insem工法(砂防ソイルセメント)の採用

 

 

引用: https://www.kyosei-kk.co.jp/products/insem-dw.html

Insem(インセム)工法(砂防ソイルセメント)とは、砂防堰堤などの大型構造物を、環境に配慮しながら効率よく施工できる新しい工法です。

 

掘削等により現場で発生した土に、セメントを混合し、堤体の材料に活用することで残土処分がなくなり、環境負荷の低減やコスト削減を実現します。

 

また、山間部などコンクリートの搬入が難しい地域でも効果を発揮するので、山間部の多い鳥取県でも注目されている工法です。

 

②ICT技術の活用

 

今回の工事では、測量や掘削の一部にICTが活用されています。

 

測量では、ドローンによるレーザー測量で取得した地形データをコンピューターが3D化してくれます。

 

この3次元測量によって、現場全体を正確に測量することができ、工事の全体像を簡単にイメージすることができます。

 


この3次元測量データを活用した掘削(ICT施工)では、図面から作成した3Dデータを重機に取り込み、掘るべき深さや位置を機械が自動で指示しますので、これまで現場でよく目にした「丁張り」も不要になっています。

 

そして掘りすぎや掘り残しを防ぎ、精度の高い施工が可能になります。

 

このICT施工は熟練した技術がなくても作業がしやすくなる点も大きな利点です。

 

ICT技術を活用したICT施工は作業の効率を高めるだけでなく、危険な場所に人が入らなくて済むため、安全性の向上にもつながります。

 

写真は、伯耆町三部で実施している、がけ崩れを防ぐための急傾斜地崩壊対策事業での施工事例です。

 

近年、土木業界では人手不足が大きな課題となっており、今後はICT技術なくして工事を進めることが難しくなるとさえ言われています。

 

かつては「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが強かった土木現場ですが、現在ではICTなどのデジタル技術の活用に代表される「建設DX」の新しい取組みが積極的に行われ、「新3K(給与がいい、休暇が取れる、希望がもてる)」になるよう取り組んでいます。

 

このような新しい技術を活用しながら、私たちの暮らしを守る工事が日々行われています。

 

以前、ICT技術についてこんな記事も書きました。→ セーフティークライマー工法ってなに?

 

■治山砂防課の取り組み

担い手不足が深刻化する中、多様な人材が参加できる施工体制の構築が急務です。

 

そうした時代の変化に対応しながら、治山砂防課では様々な技術を取り入れ、地域の安全を守る取り組みを進めています。

 

「いのち」と「くらし」・「なりわい」を守る。鳥取マガジンでは、鳥取県の砂防・治山の取り組みを、今後も発信していきます。

 

(データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。変更ある場合がありますので参考程度にお願いします。)