皆さんは、砂防堰堤(さぼうえんてい)という言葉を聞いたことがありますか?実は私もこの現場に取材に行くまで、聞いたことがありませんでした。
砂防堰堤は、山あいの奥まった場所に建設されることが多く、大雨などに土砂を堰き止め、土砂災害を防止する重要な役割を持つものです。
今回の現場は、名峰・大山の麓にある佐陀川上流付近で行われている佐陀川堰堤工事をご紹介します。
●ここ佐陀川でなぜ工事が行われているの?
佐陀川流域は荒廃が進行し、下流に土砂が流出しており、集中豪雨などの際に土石流の危険性が非常に高くなっています。そのため下流に被害を及ぼす可能性が指摘されています。
近年、数多く発生している集中豪雨などによる土砂災害から、私たちの命を守るため日々工事が行われています。
今回はその工事を指揮する施工管理者の世良剛さんにお話を伺いました。
お話を伺いました
世良さんは今回の現場で施工管理や材料調達、周辺の対応まで全てを管理されている建設現場のプロフェッショナルです。
●現場での苦労
今回の現場は高さ約15mにも及ぶ巨大な堰堤工事です。
そのため地盤の掘削工事を行う必要がありましたが、その際多量の流入水が発生したり、掘削箇所の崩落が発生し予定していた工事が中止になったりと、さまざまな困難がありました。
2024年11月2日の大雨でも、累計雨量250mmを観測し、その際は仮設土壌が崩落してしまいました。
世良さんは雨の日も雪の日も、ほぼ毎日現場巡視に来て、確認を行っているそうです。自然や天候を相手にしながら安全第一の工事を進めています。
●やりがい
「施工管理から事務管理までをほぼひとりで全て行うため、大変な点もありますが、それ以上にやりがいもあります。」
「実際に関わった現場が完成した後、半永久的に残り続けること、完成した後の達成感は仕事を続けていく上での大きなやりがいに感じています。」
と話していただいた世良さん。
お子さんと一緒に今まで施工した現場を巡り、その大きさを実感してもらったこともあったそうです。
今回お話をお伺いした中で、世良さんの仕事に対する強い思いを感じるとともに、私たちの当たり前の生活を守るための工事を日々行なってくれている皆さんへの感謝の気持ちを持ちました。
●最後に
近年では、働き手不足が叫ばれている建設業界ですが、今回の佐陀川堰堤工事でも杭ナビや快測ナビといったICT施工が導入されています。
これらによってミリ単位の測量が、端末と手元のタブレットにて目視可能で、精度の良い施工ができるようになりました。より円滑に、より安全性の高い工事が行えるようになっています。今後もICT施工はさらに進化していくことが予想されています。
今回の記事を通して建設業の魅力を少しでも感じていただけるとともに、私たちの安全な暮らしを守る工事が日々行われていることを知るきっかけとなればうれしいです。
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