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[本]必読!平井知事が本を出した。「小さくても勝てる「砂丘の国」のポジティブ戦略」平井伸治 伸治なら信じれそう。

[本]必読!平井知事が本を出した。「小さくても勝てる「砂丘の国」のポジティブ戦略」平井伸治 伸治なら信じれそう。

こんにちは、鳥取マガジンです

 

鳥取県の知事といえば「平井伸治さん。」平井知事と言えば、「スタバはないけど、砂場はある。」「蟹取県にウェルカニー。」などのダジャレを用いたアピールで話題になっています。2007年から知事になり、現在鳥取県知事3期目の任期中。平井イズムが浸透し、今では鳥取県民から絶大な支持を誇るまでになっています。

 

そんな平井知事が本を出されました。

 

小さくても勝てる 「砂丘の国」のポジティブ戦略

これは鳥取マガジンとして読まないわけにはいきません。9月29日発売ということで、さっそく読んでみました。

 

人口最少、所得も少ない小さな県

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「人口全国最少の57万人」「世田谷区が90万人だから区よりも少ない」「県民所得46位」「県内総生産は47位」「最も”小さな県”のひとつである。」本の冒頭でこんな言葉が並びます。

 

鳥取県はご存知の通り、人口最少で、所得も少ない小さな県です。

 

そんな県の知事に就任したのは2007年。その当時(今でもだと思うけど)企業誘致のため会社を訪問しても鼻であしらわれる。全国の人にも場所も名前も知られていない鳥取県。しかし小さい県だからこそできることがあると、平井知事の奮闘ぶりが書かれているのがこの本。

 

本を読んでいてわくわくドキドキが止まらなかったです。鳥取県民、もしくは地方創生に興味がある方、そして都会の人こそ読んで欲しい。

 

以下、本の内容を紹介します。でも興味がある人は是非買って欲しい。

 

第1章 話題を味方につける

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「◯◯はないけど、☆☆はある」

「◯◯はないけど、☆☆はある」

という構文・話法には、「ない」ことばかりに目を囚われてはいけない、「ある」もので勝負をかけていけ!という意味を込めている。

確かに「ない」ものをないない言ってもなにもできない。まず、「あるもの」「出来ること」に注目して行動する。そして「カネがないのなら、知恵をしぼれ、頭を使え」というポジティブな姿勢で頑張る。それが平井知事の行動原理になっています。

 

「ない」を評価してもらう

「ない」を評価してもらう

都会にあるものは「ない」けれど、もっと大切なものが「ある」ということだ。

鳥取県と都会を比べるのはナンセンスだと思います。どちらにも「ある」ものと「ない」ものがある。どちらも良い所があるし、「ない」ものもあります。ひとつひとつ捜していけば、鳥取県にはたくさん「ある」ものがあるはずです。

 

東日本大震災やリーマンショックなどの機会に、生きるためにいちばん大切なものは何かを考え直す人が増えました。その中で鳥取に移住した人が増え、2014年には全国2位の移住者を記録し、年々移住者が増えています。鳥取県に「ある」大切なものに気づいてくれる人がたくさんいたということでしょう。

 

“炎上”を怖がるな

しかし鳥取になにが「ある」のか知ってもらわなければ、だれも来てくれません。平井知事は効果的に話題を味方につけ、メディア、SNSなどで鳥取が注目を浴びるように積極的にPRしています。

 

最近では鳥取砂丘にポケモンGOのポケストップがたくさんあるということで、鳥取砂丘をスナホ・ゲーム解放区と宣言して注目を集めたり、スタバが鳥取に進出するときは、アラブの衣装を着て「砂丘からサンキュー」とスタバの人にあいさつしたり、とネタになりそうなことをやています。

 

ここで平井知事は

“炎上”を怖がるな 人の心に、なにか1つでも残したいのならば、その地域なりの”テイスト”、つまり”味わい”、”雰囲気”あるいは”ウィット”で人を惹きつけなければいけない。

と書いています。

 

地方からの情報発信は難しいです。なぜなら地方は全国47都道府県あり、他の地域も同じように取りあげてほしいネタが山ほどあるからです。さらにほとんどのメディアの本社が東京にある以上、東京中心のネタになってしまうのは仕方がない。それでも鳥取ネタを全国に広げるためには、みんなと同じことをしていてもダメでしょう。同じことが鳥取マガジンにも言えますね。勉強になります。

 

第2章 人口を増やせ

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子育て王国とっとり

平井知事になって、子育て対策に重点を置いた施策を積極的にやっています。一例を挙げると、保育料助成、小児医療費助成日本一、園舎やカリキュラムもない森のようちえんの支援、家庭内保育助成金支給、少人数学級の導入などこの他にもたくさんあります。どれも国が二の足を踏んでいるのを鳥取県がいち早く取り入れた形です。

 

若桜町、日南町、日野町では保育料助成として、子ども1人目から助成があり、とくに若桜町では1人目から無料となっているすごい制度です。

 

これらの結果、出生率が全国4位まで上昇しています。鳥取県は子育てしやすい県と言ってよいですね。

 

企業誘致はスピード

積極的に知事自ら動き、事業所や工場を作りたい企業の話しを丁寧に聞き、ニーズをつかみ対応できることは対応していく、そんな姿勢をとっている。

 

知事自ら動くことで、鳥取に行こうか迷っている会社に安心感が与えるし、知事が自らやっているからスピードも早い。

 

要はスピーディーな対応力なのである。

役所は大きい組織だから、内部手続きが煩雑になり、対応が遅れがちとなります。それを知事直轄でやることによって、早い対応ができます。早い対応が求められる市場の評価は高い。

 

第3章 県庁改革と鳥取型民主主義

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役人は、とかく評論家や査定官になりたがる。

これは役人ばかりではないですよね。TwitterやFacebookなどのSNSを見れば、人の評価ばかりしている人間のいかに多いことかが分かります。

 

そこで平井知事は、

数値目標を明確にして、 〜中略〜 現場主義、行動主義、結果主義を指向するPDCAサイクルを回す

鳥取県庁には優秀な人が多いです。その方たちにさらに仕事がしやすく、能力を発揮しやすくする仕組みをつくったわけですね。

 

借金を1300億円削減

トヨタのカイゼン方式を取り入れ、行政のスリム化をはかっている。例えば通常予算は3段階以上の査定を経て予算案がまとめられます。それを政策的経費については「知事一発査定」と変更しました。その他も2段階に簡素化し、無駄を削ぎ落としました。

 

それらのカイゼンにより、県庁全職員の残業時間が567000時間あったものが、320000時間までに減らせたといいます。

 

そしてプライマリーバランス黒字の予算を4年連続で組むことができ、海外から鳥取県のカイゼンを視察来るなど評価されています。

 

透明度全国ナンバーワン県庁

鳥取県は2010年から情報公開が全都道府県でナンバーワン。定期監査の書類も公開。予算編成過程の資料もインターネットで見ることができます。

 

ガチンコの鳥取県議会

p144からの議会の話しもエキサイティング。惹き込まれてしまいました。

 

鳥取県議会は、代表質問の質問回数、制限時間がなく、議員の気がすむまで続けられる。さらに議員が望めば本会議で知事に質問ができるようになっています。事前に用意した原稿なしで平井知事で答弁するので、平井知事曰くガチンコ議会!となっているそうです。

 

当たり前に思えることだけど、こんなふうにやっている県議会は少ないようです。当たり前なことを当たり前に行うことって難しい。特に地方自治だとそう思います。この章の最後にオチも面白かった。

 

鳥取県議会!いいがな!

 

第4章 幸せは身近にあった

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第4章「幸せは身近にあった」で最初の節に書かれている言葉

それぞれの地域のポテンシャルを生かす競争が地方創生という土俵なのだろう。

そのポテンシャルが鳥取県にあるのか?もちろん、ある!のだけど、、。

 

新甘泉・がぶりこ・砂丘らっきょう・白鳳85の3、そして蟹

鳥取県の名物は梨。県花は梨の花。二十世紀梨は県外にも有名です。しかし今売り出し中の梨がある。鳥取県人はみんな知っている梨の品種「新甘泉」。

 

この梨がかなり甘くておいしい。

二十年もの歳月をかけ、二万もの種子の中からナンバーワンを選んだ梨の中でもエリート中のエリートだ。赤梨の「筑水」と青梨の「おさ二十世紀」を掛け合わせたもので糖度十四度とメロンやマンゴ並みの芳醇な甘味が特徴なのに、二十世紀梨特有のシャリシャリとした歯触りに驚く。

もうこの平井知事が書かれた通りなんですが、びっくりするから1度食べて欲しいです。僕も毎年、何箱も関東の親戚友だちに贈りますが、かなり喜ばれます。

 

その他にも今、鳥取県がお勧めする食べ物。「がぶりこ・砂丘らっきょう・白鳳85の3」についても書かれています。平井知事が言うまでもなく、これらは全部美味しいです。かなり美味しいので是非食べて欲しいです。

 

そして何と言っても蟹。現在鳥取県は冬場は「蟹取県」として松葉がにが採れることをアピールしています。松葉がにのブランド化についても、この本で書かれています。

 

第5章 小さな県でも勝てます

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小さいからこそ、現場を知るチャンスは多く、生きた知識を得られているはず。知恵を出せばよい。

この章では、小さい県だけど出来た事例を挙げ、小さいってことで言い訳せずに出来ることをやる!という強い姿勢が書かれています。

 

手話の条例

僕が鳥取県で自慢する条例に「鳥取県手話言語条例」というものがあります。僕が手話をならったろうの方に実際聞いた話しですが、手話というのはろう学校でも教えられなかった時代があり、ろう学校で使うと教師に叱られるという時代があったということでした。

 

国に先駆けて鳥取県がモデルとなり手話言語条例を条例化したことは、手話を学んだことある人間としてとても嬉しいことですし、この取り組みが全国に広がればよいと思います。

 

 

最後に

あとがきに鳥取県出身の尾崎放哉の句を用いて、こう書かれている。

「いつも机の下の一本足である」県民のため、地域のため、重い課題に挑戦するとき、私は放哉の句を唱える。

〜中略〜

「道具」として、机の下で力を尽くすつもりだ。

県知事として、様々な大変な職務をこなされている知事が、こんなことをおっしゃってくれるのは鳥取県民として、うれしいし、誇りに思います。

 

政治は決断の連続だし、知事という職務は大きな権限もある。全ての人は納得できる案は存在しないし、なんでも反対する人はいる。その中でもやれることをやって、「ある」ものを探し、「ある」ものをアピールする知事がいることはとても嬉しい。良い人が知事になってくれたなあって思う。

 

しかし、素晴らしい知事がいるという幸運を生かすのもの、鳥取県に住む人次第です。鳥取がよりよい県になるように、この鳥取マガジンも一翼を担いたいですね。
小さくても勝てる 「砂丘の国」のポジティブ戦略